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家庭内でなされるすべての子どもへの暴力を終わらせるために-取り組みを加速させるための協力

2014年9月23日、ありがとうインターナショナル・ジュネーブ事務所は「子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブ」と共同で、ジュネーブで開催された人権理事会第27会期におけるサイドイベントを主催しました。「子どもに対してなされる家庭内でのすべての暴力を終わらせるために-取り組みの加速させるための協力」と称するこのサイドイベントは、家庭内でなされる子どもへのすべての暴力を終わらせるための取り組みを加速させるための具体案を特定することを目的として開催したものです。

本サイドイベントには、子どもへの暴力問題に関する専門家を含む、以下の方々がパネルとして参加しました。

・国連事務総長特別代表特別補佐 子どもへの暴力担当、エルダ・モレノ女史、
・UNICEF子どもの保護セクション・チーフ、スーザン・ビッセル博士
・子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブコーディネーター、ピーター・ニューウェル氏、
・子どものための倫理教育に関する諸宗教委員会事務局長兼ありがとうインターナショナル・ジュネーブ事務所ディレクター、マリア・ルシア女史

パネルでは、家庭内での体罰を終わらせる取り組みの現状や課題、取り組みの成功事例、予防メカニズム、子どもの尊厳を大切にした子育てといったトピックに関する討論が行われました。

討論の中で、エルダ・モレノ女史は子どもの保護において家庭が重要な役割を担っていることを言及した上で、子どもへの暴力が家庭で常態化していたり、報告に挙がってこなかったりしている問題があることを指摘しました。また、子どもの尊厳を大切にした子育てを社会政策として推進や、家庭内における体罰を包括的に禁じる法律の制定、安全で健全な子ども時代への投資、家族と保護者に対する支援、戦略的なパートナーシップの構築といった取り組みの重要性を強調しました。

ビッセル博士は、子どもへの暴力に関するデータ及び統計的な分析が含まれているユニセフの新しい報告書『白昼の死角』の調査結果と、暴力に対する取り組みに有効であることが具体的な証拠と共に示された『子どもへの暴力防止キャンペーンレポート:予防のための戦略』 の中身を紹介しました。さらにビッセル博士は、親、保護者、そして家族への支援に関する第一の戦略に関する詳細を述べた上で、成果が認められた模範事例を紹介しました。また、子どもへの暴力を禁じる法律や政策を実施することも重要であることを指摘しました。

ニューウェル氏は、家庭における子どもへの暴力的な罰が社会的にも法律的にも許容され、子どもを人としては認めず、権利を持たない対象として取り扱う状態が続いていることの異常性を強調しました。さらにアメリカは家庭内における子どもへの体罰を禁じる法律を導入する必要があるとした上で、子どもへのすべての体罰を世界ではじめて禁じたスウェーデンの事例を紹介しました。また2014年6月にスウェーデン保健・社会省による主催のもとストックホルムで開催された会議で出されたUPR*の活用を通じた体系的な取り組みや体罰の問題に関する認知の向上、性別と障害を含む様々な要因に基づく体罰の禁止の啓発などを含む提言を紹介しました。

*UPR(Universal Periodic Review):国連人権理事会普遍的・定期的審査
2006年に国連人権機構改革により新設された人権理事会により行われる新しい制度
で、4年毎に全ての国連加盟国の人権状況が審査される。

ウリベ女史は、家庭での子どもへの暴力には、直接的、構造的、文化的なものがあることを指摘し、子どもへの暴力を正当化する文化的及び宗教的規範に対する取り組みが必要であることを述べました。その上で、異なる視点から問題を捉え、子どもの尊厳を大切にした子育てや啓発プログラムを通じて暴力に頼らない子育ての代替策を親に提供することの重要性を指摘しました。また、ありがとうインターナショナルのイニシアチブである「子どものための祈りと行動の日」と、子どもの尊厳を大切にした子育ての推進を目的としてユニセフ、セーブ・ザ・チルドレン、Investing in Children and their Society、カンボジア宗教省が立ち上げた宗教指導者との取り組みの事例を紹介しました。

パネルと参加者は議論を通じて、家庭内における子どもへの暴力に対する取り組みとその問題に関する対話が世界で広く行われはじめているとの認識で一致しました。また、各国の政府は教育の分野以外にとりわけ貧困による直接、間接の影響を受けている家族への支援において更なる取り組みが求められているとの結論に達しました。また、家庭における子どもへの暴力に関する問題を広く社会に伝え、子どもへの暴力が及ぼす悪影響について親が知ることのできる情報を伝えるメディアの役割の重要性にも焦点があてられました。さらに、家庭での子どもへの暴力の問題をポスト2015開発アジェンダにおける主要課題に据えることに加え、更なるデータの収集と、異なる関係者の間における幅広い協力が必要であるとの見解で一致しました。

なお、本サイドイベントには、国連人権高等弁務官事務所、ジュネーブ国連政府代表団、NGOからの代表者や有識者が参加しました。このサイドイベントに関する詳細は後ほど改めてお知らせいたします。