「子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)」第5回フォーラムの2日目は、子どもに対する暴力について、サブテーマごとにより深く議論するためのパネルディスカッションから始まりました。
- 本フォーラムのテーマは「子どもに対する暴力をなくす ―行動する宗教コミュニティ―」
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フォーラムのテーマである子どもに対する暴力を具体的に論じるため、以下の3つのサブテーマが設定されました。
① 暴力過激主義、集団暴力、組織犯罪から子どもを守る ―宗教コミュニティの役割―
② 子育てにおいて精神性を育み、暴力をなくす―宗教コミュニティの役割―
- ③ 子どもの性的搾取及び虐待をなくす―宗教コミュニティの役割―
基調発題者の一人である、前ウェールズ聖公会大監督のバリー・モーガン博士は、「主な世界の宗教の教えや伝統の中には、本来の子どもの権利が存在している。子どもの権利の重要性を掲げ、提唱していくことは、宗教指導者次第である」と指摘しました。また、宗教指導者は、子どもたちの権利を強く擁護するために自分たちの住む社会を説得する力を持っており、子どもに対する暴力を見過ごしたり、気付かないふりをするために宗教を利用する人々に対しても異議を唱え、子どもに対する暴力は人権侵害であるという意識を醸成するために各機関と連携することができると、聴衆に訴えかけました。
子どもの暴力をなくすために社会で団結する重要性を訴えるアラア・ムラビット博士
国連保健・雇用・経済成長ハイレベル委員のアラア・ムラビット博士は、「女子の3人に1人、男子の5人に1人が、18歳までの間に、90パーセントの確率で自分たちの知っている人によって性的に搾取されている」と問題提起を行った後、怠慢、伝統的・文化的慣習、否認が世界的な子どもに対する暴力の増大に寄与してきたことに言及し、子どもに対する暴力をなくすための役割について参加者に投げかけました。すべての人々が協力して取り組みを行うことが、子どもに対する暴力をなくし、今社会が一つに団結する時が来ていることを強調しました。彼女は、一国における女子の10%を教育することがGDP(国内総生産)を3対2の割合で増やすことに言及し、女子の教育の重要性を強調して基調発題を締めくくりました。
パネル討論会では
・子どもに対する暴力の問題は未だほとんど注目されていない、
・宗教者の声が弱い
・宗教は子どもや若者、地域社会に対し、精神的な指導や安らぎを与える重要な役割を担っているので、宗教指導者らはもっと人々にそうしたスキルを育むための基盤を与えられるべき
・子どもの暴力に取り組むために、もっと宗教に基づいた、諸宗教のプログラムが増やされるべき
などといった意見が出されました。また、学習と行動への呼びかけの手段を提供できるよう、経験を共有することに対しても特別の注目が寄せられました。さらに、宗教指導者は、子どもに対する暴力をなくすにあたり、いつでも重要な役割を果たせるようにしておくべきであり、専門家からの「ゴーサイン」を待つべきではないとの指摘もありました。
ありがとうに関するセッション
2日目の午後は、ありがとうインターナショナルが推進している4つの取り組みを紹介するため、それぞれのディレクター4名が登壇し、それぞれの取り組みに対する報告や活動紹介が行われました。子どもに対する暴力をなくすために宗教コミュニティとパートナーと共にどのように取り組んでいるかの紹介や、質疑応答や意見交換なども行われました。ありがとうインターナショナル理事の三宅光雄先生が議長となり、円滑な進行のもと議論が進められました。
地域別セッション
中南米カリブ地域、欧州、アフリカ、アジア、中東の5つの地域グループに別れ、それぞれの地域が直面している子どもに対する暴力の解決について、具体的な解決策や共通の問題を話し合いました。また、各地域ごとに、今後の具体的な行動計画案が提出されました。日本の参加者からも、帰国後の勉強会開催などフォローアップの提案がありました。
文化の夕べ
2日目の最後は、ノレッジシティのコンベンションセンターで文化の夕べで締めくくられました。参加者は舞踊、音楽、歴史にまつわる話や衣装を通じて、本物のパナマの伝統文化に触れる機会を得ました。